酒井ヒロキ
7月15日、自然に囲まれた六甲山カンツリーハウス内の特設会場にて、野外フェス「ROKKO SUN MUSIC 2010」が開催された。

 このイベントは中止や中断など、過去さまざまな苦難に苛(さいな)まれ、昨年は「ROAD TO ROKKO SUN」と題して会場を変更して開催された。誰もが待ち望んだ2年ぶりの六甲山での開催。しかし開場1時間ほど前から生憎の雨が降り始め、六甲山は深い霧に包まれた。

 ウェルカム・ミュージックとして開場中の観客を迎え入れたのは、ギター一本を抱え「同じ空の下にいる」で始めた酒井ヒロキ。「逆雨乞いの歌として(笑)」と皮肉りながらの「雨男」に続いては、軽快なカントリー調の「Down to the South」で得意のギターテクで魅せる。彼の温かみを帯びた歌声と元気なキャラクターに誘われ、客席からは自然と手拍子が起こる。「楽しむ人の気持ちとミュージシャンの気持ち。一つになって、今日のイベントを盛り上げましょう!」と、バラード「神様の気まぐれ」をしっとりと聴かせたあとは、「ドリーマーズ ソング」でサビを大合唱。最後はロックチューン「名誉挽回」で会場を温めた。
    

フルカワミキ

本編のトップバッターはフルカワミキ。「雨もフェスって感じなので、みんな楽しんで」と、1曲目から轟音ギターで観客をグイグイと引っ張る。吹き付ける雨風に負けじと攻撃的なバンドサウンドを響かせ、それに呼応して客席も盛り上がりを見せる。ほとんどMCもなく、淡々とクールに歌うのかと思いきや、リズムに合わせて踊ってみたりもする彼女がとってもキュート。ステージにまで立ちこめる霧が赤い照明を反射させ、ステージをより幻想的に演出する。そこに浮遊感のある歌声が漂って、まるで異次元へ導かれるかのようだ。バンドサウンドと打ち込みサウンドを織り交ぜ、圧倒的なグルーブ感で霧の六甲山を支配した彼女。「雨だけど、最後まで楽しんで行ってね!」と可愛く言い残し、ステージを後にした。

大橋トリオ
 続いて登場したのは、大橋トリオ。今回のツアーで”大橋コトリオ”として活動してきた、コトリンゴ(Key)と神谷洵平(Dr)を迎え、「はだかの王様」「Carnival」など立て続けに披露。3人の息もピッタリの様子で、コトリンゴとのデュエットでは、美しいハーモニーを聴かせる。あまりの強風と濃霧に、ときおり「大丈夫ですか? 元気?」と客席を気遣う一面も見られた。ラストの「Happy Trail」では、客席後方までが飛び跳ねて踊っている! 濃霧で3メートル先すら見えないハズなのに、だ。そこに素晴らしい音楽があれば、私たちは幸せになれる。そんなごく当たり前のことを気づかせてくれたステージだった。

SPECIAL OTHERS

ROKKO SUN MUSICには2回目の出演のSPECIAL OTHERSが「PB」でスタート。頭からのアッパーチューンに、観客は両手を上げての大歓声! さすがは野外フェス常連バンド。「こんな過酷な状況のほうが、絶対思い出に残るから!」と、雨をモノともしないパフォーマンスに、客席は早くも熱狂の渦と化す。その熱量たるや、霧を水蒸気かと見紛うほどだ。続いて、疾走感あふれる「wait for the sun」を披露。7月21日(水)から配信スタートするという新曲だというのに、オーディエンスは泥だらけの足下を気にする様子もなく踊る、踊る。「ラストの曲です。ほんと、空を飛んでるみたいで楽しかったです。ありがとう!」と演奏されたのは「Laurentech」。JAMバンドの底力を見せつけるようなパフォーマンスに、観客も悔いを残さぬよう最高潮の盛り上がりを見せた。

有山じゅんじ
 まだ熱を帯びたままのステージ中央に、有山じゅんじがギターとビールを抱えて陣取る。「ホンマに天気に恵まれてバッチリですよ。雨が、霧がなんぼのもんや。Don’t worry」と「鯖、ジン」や「上を向いて歩こう」、某ビールのCM曲(インスト)といった名曲たちを立て続けにプレイ。若い観客たちを前に、貫禄のブルースと軽快なトークで会場を沸かせる。霧と突風に襲われても、まったく動じない。「もう一曲ぐらいか? 鯖の歌を歌ったから、次はスルメの歌を歌います」と「スルメのように生きてる」を歌うころには、観客はすっかり有山ワールドの虜に。スタッフからの指示で「まだやれって? もうやりたい曲ないなぁ」とボヤキながらも、「星に願いを」や「Over the Rainbow」などのフレーズを織り交ぜながら、見事なギタープレイで観客を魅了した。


Caravan
この日いちばんの濃霧が会場を包むころ、「ヒミツの森へようこそ!」と登場したのは、イベント常連のCaravan。「Glory days」、「TRIPPIN’ LIFE」と続く心地よいサウンドに、思わず身体が揺れる。「みんなありがとね、最高! 潤ってますか?(笑) ココは間違いなく天国に近い場所。雲の上に乗ってるみたいだね。雨にも負けず、それでも種は発芽するって曲があるので聴いてください」と、「Seed」や、懐かしい「Soul Music」を披露。「ココまで恵まれないフェスだと、母性本能がくすぐられて本気出して、なんとかしてやるっていう気になる。最高です。良いモノいっぱいもらいました。本当にありがとう、また来ます」と六甲山での再会を約束し、最後に演奏されたのは「Camp」。「ラララ、Sing a song もう一度、確かめるように歌うよ〜」と大合唱でピースフルな一体感を生み、温かな感動を残した。

OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
いよいよトリのOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDが「Welcome!」の一言からライブをスタートさせると、客席の熱量は一気に上がる。マーティンが「How’s it going? すいません、雨男なんで全部ボクのせいです(笑) FUJI ROCKよりスゴいね。アナタたちはスゴいよ!」と雨にも負けず最後まで楽しんでいるオーディエンスを賞賛。頭を振り乱してギターをかき鳴らすTOSHI-LOW、力強い歌声を聴かせるマーティン。エネルギッシュに畳み掛ける圧巻のパフォーマンスに、観客も拳を突き上げ飛び跳ねて応える。ラストの「Thank you」では手拍子が起こり、その場にいた全員が至福のひとときを噛み締めながら、笑顔とともに幕を閉じた。


CLOSING
イベントを締めくくるのは、FM802のDJ竹内琢也によるClosing MUISC。bonobosの「Thank you for the music」が流れると、観客も今日一日を振り返りながら、ハンズ・クラップで応える。オゾマトリの「ヤー・ヤー・ヤー・ヤー」と続き、ハナレグミの「明日天気になれ」というハマりすぎる選曲で大団円を迎えた。
 雨と濃霧と強風という過酷なシチュエーションだった。途中で帰った人もいるだろう。 テンションの下がるような状況から救ってくれたのは、やはり”音楽”だった。会場を後にする観客の晴れやかな表情が、このイベントの大成功を物語っていた。

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