LIVE REPORT 2021

7/3

sat

OA 酒井ヒロキ

今年4月には会場を擁するエリアが六甲山アスレチックパーク GREENIAとしてオープンし、ジップラインを楽しむ人々の姿も見えるなど、視界をちょっぴり変えたROKKO SUN MUSIC。入場口では検温・消毒が行われ、ステージ前のスタンディングエリアは間隔を開けてのゾーニングを施し、感染症予防は隅々までバッチリだ。そんな会場をWELCOME MUSICACTのシンガーソングライター・酒井ヒロキの柔らかな声が包んでいく。「緩やかに整えていってくださいね」と、グッドムードな『手と手』や軽快なアコギにクラップが自然発生した『Down to the South』など次々とプレイ。前日まで全国的な大雨で六甲山も天候不順が心配された中、この日は何と晴れ間までのぞく過ごしやすさでの開催に。そんな状況に酒井も「ナイス晴れ男・晴れ女が集まっています。自分に拍手! …何て言うと霧が増えたりして。でもそれも楽しみの一つですよね(笑)」とニッコリ。音楽の歓びを描いた『スウィートソウルミュージック』で締め、「ROKKO SUN MUSIC始まりまーす!」と高らかに宣言し、本編へのテンションを引き上げてくれた。

SET LIST

  • 01. 手と手
  • 02. Down to the South
  • 03. 光
  • 04. ドリーマーズソング
  • 05. スウィートソウルミュージック

1. odol

この日が今年初の有観客ライブとなり、さらに6月末でのメンバー脱退後、初編成でのステージというリスタートのタイミングとなったodol。6月に発表したばかりの新作を中心に、まずは『眺め』から出発。ミゾベリョウ(vo&g)の物憂げな歌声が美しい六甲山の空気をより一層浄化していくようで、開放感ある『未来』では、頬をなでる涼やかな風までも彼らのためにあるようだ。MCでは「直接音楽を届けられて、その喜びを噛みしめまくっています」と話してくれたミゾベに、オーディエンスも大きく頷かずにはいられない。じわじわと高揚感を高めていく『身体』、電子音のループとニュアンス豊かなアンサンブルが重なる『夜を抜ければ』と血の通ったエレクトロニックサウンドに、全身がゆっくりと侵食されていくかのよう。ラストの『虹の端』でその感覚は頂点に達し、余韻たっぷりに幕引きへ。新体制ながら揺るぎないパフォーマンスで、バンドの進む道筋をしっかり示してくれた彼ら。音のミストシャワーが降り注ぐ極上の陶酔を与えてくれたodolが、ROKKO SUN MUSICに開幕の鐘を鳴らす!

SET LIST

  • 01. 眺め
  • 02. 未来
  • 03. 小さなことをひとつ
  • 04. 身体
  • 05. 夜を抜ければ
  • 06. 虹の端

2. D.W.ニコルズ

「土砂降りにならないように止めておきました!」(わたなべだいすけ/vo&g&harp、以下同)なんておどけながら、『haleiwa』からサニーな音風景を繰り広げていくD.W.ニコルズが2番手に。『フランスパンのうた』では、お約束の“やきたてコール”で声を出す代わりに、タオルを掲げてのコール&レスポンスを繰り広げ、キッズたちも待ってましたとばかりに大熱狂! ハピネスいっぱいの一体感でマスク越しでも満開のスマイルが会場に咲き誇っていく。MCでは年内で現体制での活動を終え、来年からはわたなべを中心とした新体制となることにも触れる。ROKKO SUN MUSICラストイヤーと重なったことに偶然ではない巡り合わせを感じつつ、「一緒に歌った思い出は宝物。壁にぶつかったときもこの思い出が勇気をくれると思います」と続けたのは『青い空』。「マスクもしていて歌ってない、口元も見えないのに、みんなの歌声が聴こえるんだよね。心の中で大きな声で歌ってね」との言葉には思わずグッときた人も多いはずだ。“魔法のメロディー”を体現した『スマイル』や、豊潤な『LIFE』まで全6曲、ライブの醍醐味を凝縮したニコルズらしい時間となった。

SET LIST

  • 01. haleiwa
  • 02. フランスパンのうた
  • 03. 青い空
  • 04. はるのうた
  • 05. スマイル
  • 06. LIFE

3. OAU

「のんびりしててイイ感じ。お客さんで来たいね、こういうフェスは」(MARTIN/vo&vl&g)との言葉通り、健やかな眺望が広がる初日。その牧歌的な風景を新曲のインストで瞬時に祝祭的ムードへとチェンジさせていったOAU。TOSHI-LOW(vo&g)の朗々たる歌声をトリガーにした『Again』では、KAKUEI(perc)とRONZI(ds)のセッションに場の温度は急上昇! 音の洪水のごとく濃密なサウンドでの『Making Time』は、多幸感でいっぱいに。「ROKKO SUN MUSICは長くやってて愛着があるから残念。こういう自然を舞台にしたイベントは音楽を楽しんだりおいしいものを食べることと同時に、その壮大さや畏怖の念を学んでいくんでしょう」(TOSHI-LOW)と、そんな思いを込めて続けるのは『こころの花』だ。美しい旋律と体の芯にまで響く強靭なリズムは、六甲山が見せる優しくも過酷な表情そのもの。MARTINの伸びやかなボーカルでのダイナミックな『Change』を聴かせ、いよいよ終盤へ。「ありがとうROKKO SUN!」(TOSHI-LOW)と大きな賛辞を送りながら『帰り道』でエンドロールを飾ったOAU。オーガニックなアンサンブルで、ROKKO SUN MUSICの名シーンを数々彩ってきた彼らを、会場は惜しみない拍手で送り出していた。

SET LIST

  • 01. インスト(新曲)
  • 02. Again
  • 03. Making Time
  • 04. こころの花
  • 05. Thank You
  • 06. Change
  • 07. 帰り道

4. 中村一義

来年にデビュー25周年を控えながら変わらない少年性を備え続ける中村一義が、バンドセットでROKKO SUN MUSICへ初登場! 中止となった昨年に出演予定だったため、「ようやく皆さんと会えてうれしいです! 初めて会えて今日が最後。今は別の山を探しているらしいですよ」なんて微笑みつつ、しっとりした『素晴らしき世界』、昨年発表した新たなアンセム『愛にしたわ。』を披露と、シリアスかつドラマティックな展開に。「コロナ禍なので、いろんなことを感じてほしいな」というセットリストには、彼の音楽家としての確固たる意志が漂う。躍動するギターリフに歓喜の声が上がった『キャノンボール』では、「皆さんの心の声を今一度、私の元へ届けてください!」と声を発さないコールを先導。ルール下においても全力疾走な姿勢に、オーディエンスも心の声の最大ボリュームで応えたに違いない。「この曲やるの忘れてた(笑)」なんてトボけながら、最後は『ロックンロール』でエンドマークを。「また遊ぼうね!」と満面の笑みでステージを後にした中村一義。マジカルな音楽の力を信じたくなる全7曲だった。

SET LIST

  • 01. 1,2,3
  • 02. 君ノ声
  • 03. 素晴らしき世界
  • 04. イース誕
  • 05. 愛にしたわ。
  • 06. キャノンボール
  • 07. ロックンロール

5. ハンバート ハンバート

ROKKO SUN MUSICラストイヤーの初日、その締めを担うのはハンバート ハンバートだ。まずは清涼感たっぷりに『長いこと待っていたんだ』で幕開けへ。たった一声発するだけで、ガラリと場の空気は一変。二声が重なり合う爽快さに体感温度は-5℃に感じるほど。続く『おなじ話』では、佐藤良成(vo&g&vl)の柔和な歌声と佐野遊穂(vo&harp)の澄みわたる声質が掛け合い、会話のように歌をつないでいく。ピリリと刺激的なワードで綴る『国語』では「行け、遊穂!」(良成)との合図で、ワイルドに吹き鳴らす遊穂のハーモニカ・ソロにも喝采が! 良成がバイオリンを奏で、遊穂がスレイベルを鳴らす『ホンマツテントウ虫』は、後半でマッシュアップ的に『ビバノン音頭』を聴かせ、「またここで会いましょう」とフレーズを変える粋な一幕も! アンコールの『メッセージ』では、絶唱する二人の姿で大団円を迎えた。彼らの音と歌がくれる郷愁の思いは、そのままROKKO SUN MUSICの景色にリンクする。「ありがとう! またね」(遊穂)と交わしたハンバート ハンバートとの約束は、イベントの未来を想起させる実にうれしいものとなった。

SET LIST

  • 01. 長いこと待っていたんだ
  • 02. おなじ話
  • 03. 真夏の果実
  • 04. 虎
  • 05. がんばれ兄ちゃん
  • 06. 国語
  • 07. ホンマツテントウ虫〜ビバノン音頭〜
  • EN01. メッセージ

クロージングDJ 竹内琢也

FM802のDJとして親しまれ、現在は自身のメディア運営やインタビュアーとして幅広く活躍する竹内琢也が、ROKKO SUN MUSIC初日のクロージングを飾る。電気グルーヴやJUDY AND MARYなどテンション高まる名曲たちや、ミスターROKKO SUN MUSIC=Caravanなどをプレイ。その気持ち良さに帰宅の気配を見せず、踊り続けるオーディエンスがいるのも納得だ。天候に恵まれたこの日は、自然の豊かさを感じられた何とも贅沢なひとときに。それぞれのカラーで場を鼓舞してくれたアクトたちの余韻を心のポケットにしまい、下山する時間すらも何とも幸せな空気に包まれたROKKO SUN MUSIC初日となった。



text by 後藤愛 / photo by 渡邉一生 

7/4

sun

OA 酒井ヒロキ

2日目は前日と打って変わり肌寒く、六甲山の“本気”を見せる深い霧だが、初期から出演を続ける彼は慣れたもの。「スウィートソウルミュージック」から徐々に会場を温める。途中、弦が切れるも、“不吉なことは全部僕が引き受けましたから(笑)”と頼もしい言葉でフォロー。そして「ドリーマーズソング」では子どもがポンチョをはためかせ最前線へ走るなど、観客も楽しむ準備OKに。いよいよ「ROKKO SUN MUSIC」はラスト1日に突入する!

SET LIST

  • 01. スウィートソウルミュージック
  • 02. 名誉挽回
  • 03. 神様の気まぐれ
  • 04. 光
  • 05. ドリーマーズソング

1. MONO NO AWARE

最終日の幕開けを告げるのは、空模様に呼応するような「明日晴れたら」の幻想的なイントロ。そこから自由で独創性に富む4人の音楽が遊び心を発揮する。「異邦人」では浮遊感をミックスして南国の景色を見せたかと思えば、「かむかもしかもにどもかも!」では時にサイケデリックにまくし立てる早口言葉で観客にリズムを刻ませる。また「ゾッコン」のシンプルなメロディで小さな子も跳ねさせれば、気分よく翻弄されたオーディエンスは曲を重ねるごとに舞台前に倍増。そんな人々は、静かな熱を劇的にも童謡のようにも操るナンバーに最後までハートをがっちりつかまれ、演奏後には長い拍手が送られた。ちなみに玉置のMCはいつもどおりの飄々としたスタイル。ただし今回が初登場とあり、“これほどのミストサウナとは”と濃い霧に驚きを隠さなかったものの、“(自身の)地元・八丈島の空気によく似ているので”ともコメント。最初で最後の「ROKKO SUN MUSIC」を楽しんでくれたに違いない。

SET LIST

  • 01. 明日晴れたら
  • 02. 異邦人
  • 03. かむかもしかもにどもかも!
  • 04. ゾッコン
  • 05. 孤独になってみたい
  • 06. そこにあったから
  • 07. 東京

2. Keishi Tanaka

サウンドチェックの「Foggy Mountain」で山のムードを高め、「This Feelin' Only Know」の極上グルーヴで霧ごと観客を揺らして “はじまりの合図”。さらにモータウンビートでスウィングさせ、艶やかでダンサブルなポップで踊らせれば、今日一度きりの日差しを感じる瞬間も! 続くMCでも鳥のさえずりが聞こえ、“「ROKKO SUN」よく出させてもらってて、この霧がいいよねってみんな言うけど、そりゃ晴れてる方がいいよ(笑)”と本音もポロリ。だが「Breath」で放たれる歌声は優しく耳に残り、乳白色の光景と親和性抜群。聴く者を曲の中へと誘うも、次のキラーチューン「Floatin' Groove」でぐんと浮上して誰もがもう一度体を揺らすことに。そして会場が圧倒的な満足感で満たされるなか、“最終回に3ピースセットでライブができて…この時期にこういう場所を作ってくれて感謝しています”と述べると、締めくくりは新曲「I’m With You」を弾き語りで。胸に響く柔らかなメロディに愛ある言葉を乗せ、すべての人の耳と目を釘付けにしていった。

SET LIST

  • 01. This Feelin' Only Know
  • 02. Just A Side Of Love
  • 03. The Smoke Is You
  • 04. One Love
  • 05. Breath
  • 06. Floatin' Groove
  • 07. I’m With You

3. FRONTIER BACKYARD

14:00を過ぎても一向に晴れない霧を味方につけるかのごとく、出だしは滑らかに「Memories」などをつなげ、TGMXが弾み煽って温度を少しずつ上昇させる。そして寒さを吹き飛ばしたところで今度はゲストを招いて中盤へ。まず元sawagi・コイチとの2曲は、包み込むコーラスとピアノが彩る美しい旋律でママに抱かれる子どもに寝息を立てさせておいてから、ファンキーな「Fantastic every single day」でいっきにパーティタイム。ボーカルの熱もBPMも上げ高揚感をもたらすと、次はAi Yamamotoを加えてライブ初披露の「Here again」へ。男女2ボーカルで織り成す心地いい夏のダンスミュージックに観客はバウンド&ハンズアップ…となればもう勢いは止まらず、よりエッジーに、ハッピーに、アーバンにとあの手この手で沸かし切り、クラップと“Wo,Wow,Wow”という心の中の大コールを起こして「POP OF D.」で爽快にゴール! 去り際には“またここでライブできたらいいですね”(TGMX)と、“ROKKO SUNファン”をじわっとさせるひと言も残してくれた。

SET LIST

  • 01. Memories
  • 02. Fun summer ends
  • 03. I thank you in my mind (guest)
  • 04. fantastic every single day (guest)
  • 05. here again (guest)
  • 06. city lights
  • 07. Putting on BGMs
  • 08. POP OF D.

4. ホフディラン

前日がデビュー25周年記念日だった彼らは10年ぶりの六甲山に乗り込むと、お祝いムードで「遠距離恋愛は続く」から。あの“チュチュチュー”のフレーズも、続く「サマータイムポップ」のリフレインも渦を巻き、早くも“ホフワールド”が炸裂。MCも“(次の)NONA REEVESの前に濃霧注意報になるよ(笑)”(小宮山)、“濃霧REEVES!”(ワタナベイビー)と“舌好調”だ。しかし甘酸っぱさや青さをたたえるナンバーになれば、今日もまたギュッと胸を締め付けるも、再度、バンドメンバーにからむ毒混じりのトークで煙に巻き、加えてデビュー曲「スマイル」を“女優・森七菜さんのカバーをお送りします”(ワタナベイビー)と始めるから笑い声を抑えるのが大変。とは言え、25年を経ても変わらぬ曲が持つ普遍の情景と2人のほっこり感はみんなをとりこに。その証しに「また逢う日まで」では小さな兄弟が家族とつないだ手をニコニコで大きくぶらんぶらん。冷えた体も温かくなったことだろう。

SET LIST

  • 01. 遠距離恋愛は続く
  • 02. Summer Time Pop
  • 03. サガラミドリさん
  • 04. 恋はいつも幻のように
  • 05. 欲望
  • 06. スマイル
  • 07. また逢う日まで

5. NONA REEVES

とうとう迎えたオーラスは、出演者ラインナップに7回名を連ねる強者・“ノーナ”! 彼らのご機嫌なパーティチューンはフォギーな空間でもきらめき人々を踊らせ、西寺のラップ&ステップも軽快。ファンを指さし歌う姿は彼が愛するスターたちのそれと重なり、観客のクラップも一つに。またメロウなピアノ&歌声でグッと引き込み酔わせて揺さぶりもかける。しかも「DJ!DJ!~とどかぬ想い~」は予定外の“おまけ”とくるから最終回の特別感も大だ。西寺も“嘘ちゃうか?っていう霧でしたが、心に残るステージになったと思います”と話し、オーセンティックかつクールなディスコナンバーでついに締め!…となるはずもなく、拍手が続いてアンコールへ。いきいきと躍動する飛び切りのポップは霧を突き抜け、“Oh,Oh”のコールパートでは観客の拳が天をつく。そして訪れたフィニッシュは、主催・GREENSの力竹氏が飛び入りしての大ジャンプ! “(新会場の)山探します!”(力竹)、“山探すで~(笑)”(西寺)と、天気とは裏腹のカラリとした笑顔で「ROKKO SUN MUSIC」15年の歴史に終止符を打った。新たな山で音楽と溶け合う最高の日は、きっと再びやって来る!

SET LIST

  • 01. パーティーは何処に?
  • 02. ガリレオ・ガール
  • 03. メモリーズ
  • 04. Ain't No Mountain High Enough
  • 05. LOVE TOGETHER
  • 06. DJ! DJ! ~とどかぬ想い~
  • 07. Seventeen
  • 08. Disco Amigo
  • EN. NEW SOUL

クロージングDJ 土井コマキ

Caravanやハンバート ハンバートなど「ROKKO SUN MUSIC」に縁のあるミュージシャンの曲を中心にチョイスして思い出話も挟み、立ち尽くす人をそっと家路へと送り出す。ファイナルゆえの強烈な余韻を残しつつ、今日の記憶を糧にこの困難な時代を乗り越え再会を誓う“また健康で会いましょう!”という土井の言葉が響き、六甲山は元の静かな山の風景へと戻っていった。



text by 服田昌子 / photo by 渡邉一生